Illustrator 2025で「古いファイル」の文字組みが崩れる？ いいえ、ちゃんと防げます

　デザイン業界で広く利用されているグラフィックデザインソフトウェア「Adobe Illustrator」の最新バージョン（ver.29、以降、わかりやすくIllustrator 2025と記します）では、文字組み機能に大きな改善が加えられました。

　本記事では前後半に分けて、これらの改善点や新機能について、ビジネスマンや一般の方にも分かりやすく解説しています。

　前編では、Illustrator 2025の文字組みに関するアップデートの概要をご紹介しました。今回の後編では「実際にIllustrator 2025で古いファイルを開いたらどうなるの？」「従来のまま編集せずに開きたいときは？」「安心して使うにはどうしたらいい？」といった、日常の作業で気になるポイントを解説します。

「過去のファイル」の文字組みが崩れる？ いいえ、ちゃんと防げます

　Illustrator 2025では、テキストエンジンが新しくなったことで、旧バージョンのファイルを開いたときに「文字の見た目」が少しだけ変わることがあります。

　たとえば：

• 行間が微妙にずれる
• テキストの折り返し位置が変わる
• 文字がエリアの外にはみ出す など

　このように、2025年版で“より正確な動き”に変わった結果として、見た目の違いが発生するケースがあるのです。しかし、ここで慌てる必要はありません。

文字組みの“違い”を、視覚的に確認できる

　Illustrator 2025のアップデートは、文字組みをより精密に、より正確に制御できるように進化させるものです。

　一方で、過去のファイルとの“わずかな違い”が生じる可能性があるため、初めて開くときには［文字組み更新パネル］で更新前と更新後の違いをしっかり確認しておくのがおすすめです。

［文字組み更新］パネル

逆に“更新したくない”ときはどうすれば？

　「この資料、微調整せずそのまま使いたい」「確認作業に時間が取れない」という場合は、ファイルを開いた際に表示される「文字組み更新」の確認ダイアログで、［いいえ］を選べば、旧バージョンのまま開くことができます。これにより、元のレイアウトを保ったまま編集が可能になります。

　また、「更新するけど、後で見た目の違いもチェックしたい」という場合は、前編で紹介した［文字組み更新パネル］でいつでも比較できます。

過去のファイルを開くとダイアログが表示される

　以前のバージョンのaiファイルを、Illustrator 2025で開くと、ダイアログが表示されます。aiファイルに含まれる情報によって、開く際に表示されるダイアログが異なりますが、ここでテキストエンジンを［更新］するか［キャンセル］するかを選ぶことができます。

なぜ今“文字組みの精度向上”が必要だったのか？

　ビジネス文書、Webデザイン、パッケージ、UIデザイン……どんな現場でも「文字の見え方」は重要な要素です。

　わずかなズレが「雑に見える」「読みにくい」といった印象につながることも少なくありません。今回のアップデートは、そうした“ちょっと気になっていた部分”を改善し、よりプロフェッショナルな表現ができるようになったというわけです。

　さらに詳しく知りたい方は、アドビ公式ブログの記事をチェックしてみてください。

著者プロフィール：Takashi Iwamoto

アドビ株式会社 / Creative Cloud セグメントマーケティング部 マーケティングマネージャー

2004年にアドビ システムズ社に入社。Illustrator、Photoshop、InDesignなどのデザインツールを担当。一貫して広くデザイン、印刷市場へ最新製品を訴求。担当製品も多く、Adobe FontsやAdobe Fresco、Creative Cloudで新たに追加されたサービスやツール、モバイルアプリにも注力をしている。

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